WIDEプロジェクトが藤田医科大学・シンガポール国立大学・株式会社メディカロイドと共に研究に携わる遠隔手術の実証実験が10月9〜12日の4日間にわたって実施されました。約5,000キロ離れた日本とシンガポール間の遠隔手術の実証実験は今回が初めて。日本外科学会の「遠隔手術ガイドライン」によって現在、医療としての遠隔手術は認められていませんが、「教育や研究それに医療が、いままでのバウンダリー(境界)を超えて力を合わせることができるという方向」(WIDEプロジェクト ファウンダー 村井純)を印象付けました。
本実験で使用した手術支援ロボット「hinotoriTM サージカルロボットシステム」は、産業用ロボットのリーディングカンパニーである川崎重工業と医療分野に幅広いネットワークを持つシスメックス社の共同出資により設立されたメディカロイド社が開発しました。
また、本実験において利用された藤田医科大学(FHU) とシンガポール国立大学 (NUS)を結ぶネットワークは、以下の研究教育ネットワーク(REN)が、国内連携の枠組みである CINJI (Coalition of Interoperable Networks for Japan and International)、および国際連携の枠組みであるAPOnet (Asia Pacific Oceania Network) のもとに相互協力して実現しました。
これら複数のネットワークの協力により2拠点間に3種類の国際的な冗長経路を確保し、頑強性の高い遠隔手術環境を構築することができました。また、遅延の異なる各経路に対して医師による評価を行い、医学分野におけるこのような研究教育ネットワークの応用可能性を確認しました。
WIDEプロジェクトおよび慶應義塾大学サイバー文明研究センター(CCRC)は、今回の実証実験に利用された上記のネットワーク構築のためのコーディネーションを中心となって推進し、実験の成功に貢献しました。
藤田医科大学プレスリリース: https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv000000n24h.html
シンガポール国立大学プレスリリース(英語):
https://medicine.nus.edu.sg/wp-content/uploads/2023/10/IMMEDIATE-RELEASE-Media-Release_Remote-Telesurgery-Trial.pdf