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2020.01.27
【訃報】佐野 晋氏

WIDEプロジェクトの初期からのメンバーであり、特にセキュリティ分野、ISPの黎明期への貢献、JPNIC/JPRSでの資源割り当てに関する業務への貢献などインターネットの世界に大きく貢献してきた佐野晋氏が2020年1月6日に永眠されました。佐野晋氏のご冥福を心からお祈り申し上げます。

以下、WIDEプロジェクトファウンダーからのメッセージです。


佐野晋さんを悼む

(佐野晋とは同世代であまりに長く一緒にいたので「さん」付けはタイトルだけにします、ごめんなさい。)

佐野が先に逝ってしまった。

佐野と私は学生時代からの仲間でありライバルだった。

筑波大学の学生だった佐野と慶應の学生の私は、そもそも情報処理学会の若手の会やプログラミングシンポジウムなどを通じた同世代の「生意気な」若手研究者(学部学生)コンビとして一緒の時代を過ごした。UNIXの研究開発やプログラミングのことなど興味の焦点はほとんど一緒だったし変な食べ物や飲み物も共通の関心だったので楽しい若手の時代を研究の議論から生活まで長い時間を共有した。

JUNETやWIDEプロジェクトとして研究開発をチームとして取り組むときに、佐野は結構大人の役割を果たしていた。WIDEが我が国初の商用ISPを作ろうとしたときに佐野はアスキーだった深瀬さんや東大の吉村とともに中心的に働いてくれた。以来、インターネットが研究開発から社会を動かすときに佐野はいつも先導役を果たしてくれた。資源割当の挑戦はJPNICとして、ドメイン名のスタートアップとしてJPRSを理科大時代からの先輩で仲間である東田さんと引っ張ってくれた。

多少乱暴でもあった私の提案に、いつでも突っ込みを入れてくれて、自らは「僕はWIDEの良心です」と言っていた。本当は佐野自身が過激で先端的で、優れた研究者でエンジニアだったので「良心」は言いすぎだけど、チーム全体の中でのバランスを取るために面白がって突っ込みを入れていたのだと思う。その時の佐野は、いつも少しいたずらっぽい表情をしていたのでそれがわかる。この佐野の顔は一生忘れることはない。

山ほどある昔の思い出話もしないで先に眠ってしまったけれど、夢の中か、別の世界でそれができることを楽しみにしている。

佐野との40年以上の友情に、また、この分野全体のスタートアップと発展に献身的な貢献に、私から、そして、WIDEプロジェクトを代表して、心から敬意と感謝を捧げたい。
佐野、お疲れ様。安らかに眠ってくれ。

2020年1月
WIDEプロジェクト ファウンダー
村井 純