WIDEプロジェクト、一般社団法人高度ITアーキテクト育成協議会(以下AITAC)、およびAPNICは、アジア太平洋地域におけるインターネット人材の育成のために継続的に協力し取り組んでいくことに合意し、2024年2月20日に覚書を締結しました。
本覚書では、三者が今後以下を目的とする活動を共同で実施することを確認しました。
WIDEプロジェクトは、日本を拠点として1988年に設立された、産官学組織と共同でインターネット技術・標準・社会に関連する研究を推進するグローバルな研究コンソーシアムです。これまでM root DNSサーバのオペレーションや、最初期からIPv6の実装とその普及啓蒙活動も行ってきました。現在は、アジア太平洋地域におけるREN (Research and Education Network) の大動脈ともいえるARENA-PAC[1]の運用を通し、地域における教育・研究を支えるインフラのオペレーターとしての活動や、APN (All Photonics Network)による超低遅延やトラフィックエンジニアリングの地球規模で実現や、逆に高遅延環境となる宇宙・惑星間通信へ対応する新たな通信プロトコル等、様々な研究開発や標準化活動に取り組んでいます。また、2001年にWIDEプロジェクトの活動から立ち上がったSOI-Asia Projectでは、2021年度よりAPIE (Asia Pacific Internet Engineer)プログラム[2] を立ち上げ、地域におけるRENの運用や次世代のインターネット人材の育成を目指しオンライン、対面の様々な活動を通して、若手人材の育成に取り組んでいます。
AITACは、日本において、IoT時代のITインフラの運用・管理を担う人材の育成に寄与することを目的に2017年に設立されました。e-learningや対面でのハンズオンセミナー等を通して、知識や技術を習得のため体系的なカリキュラムを提案し、資格認定を行っています。APIEプログラムに対して教材提供や、E-Workshopへの講師派遣などこれまでも協力体制を築いて共同で人材育成プログラムを実施してきました。
APNICは、アジア太平洋地域の地域インターネットレジストリ(RIR)としてリソース管理をするだけでなく、APNIC Academyでのオンラインでの教育プログラムや、各地における多様なワークショップを通して、地域の必要とするインターネット人材の育成に努めてきました。また2021年からAPIEプログラムへのVirtual Lab教材を提供するなど協力関係を築いてきました。
今後、三者はAPIEプログラムを通した若手エンジニアの育成や啓蒙活動をさらに強化します。また最新のネットワーク運用技術や研究成果を、インターネットコミュニティへフィードバックするため、若手だけでなくプロフェッショナルエンジニアをも対象とした新たな教材・コースの開発においても協力する予定です。