Title: IDEON-WG 2016年活動報告 Author(s): 斉藤 賢爾 (ks91@sfc.wide.ad.jp), 土井 裕介 (doi@sfc.wide.ad.jp) Date: 2017-01-19 本ドキュメントは、IDEON-WG の2016年活動報告である。 1. はじめに IDEON は、Integrated Distributed Environment with Overlay Network の略で あり、オーバーレイネットワークによる自律分散環境の研究を行っている。 研究が社会で役立つのは、それによるイノベーションが実際に起きるときであ る。オーバーレイネットワークは、基本的に、ネットワークを応用するためには 必ず形成する必要があり、その研究開発が適用可能な領域は多岐に渡る。IDEON の仲間たちは、オーバーレイネットワークの基礎技術から個別のアプリケーショ ン層まで幅広い研究活動を行ってきた。 2. 2016年の活動 2016年は、昨年に引き続き、IDEON のメンバそれぞれが、これまでの研究成果を 礎として、新たな領域へと活動を広げていく時期にあった。 ひとつには、深層学習やコグニティブ・テクノロジーといった人工知能系の技術の盛り上がりに対する WIDE メンバの関心の高まりに答え、WIDE 研究会にてIDEON メンバがニューラルネットワークのライブラリ Chainer のハンズオン・ワークショップを開催した。 また、2013年、デジタル通貨 (デジタル技術により創られたオルタナティヴ通貨) の一種であるビットコイン (Bitcoin) が、いわゆるリアルマネーとの交換レートにおけるその急激な価格上昇に伴い、にわかに社会の注目を浴びることになったことは記憶に新しいが、IDEON-WG はその設立 (2002年) の当初からデジタル通貨の研究を続けており、その15年以上の研究の蓄積から、ビットコインおよびそれを下支えする技術であるブロックチェーンや、その一般化概念である分散レッジャー(台帳)を巡る状況に対して、発言すべき内容を持っている。 2016年は、金融をはじめとする様々な領域でブロックチェーン/分散レッジャーの応用に関する基礎的な実証実験が次々と行われた年であり、次節では、2016年末の時点におけるブロックチェーン/分散レッジャーの技術的側面の記録となることを意図して、その仕組みを振り返り、応用と課題、さらには来たるべき社会変容についてまとめた。 3. 分散レッジャー技術と来たるべき社会変容 wide-tr-ideon-dlt2017-00.pdf を参照。 4. おわりに 社会が大きく、しかし社会的な速度で (つまり序破急で) 相転移を迎えようとしている今、IDEON の活動が貢献できる場面は多岐にわたると考えられる。ビットコインやブロックチェーンの概念の普及により新たな局面を迎えた P2P と金融およびその他の産業領域に関する課題はその一例である。 今後も、統合分散環境の構築技術により社会に貢献できる道を様々な方面で探っ ていきたい。 -以上-