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プレスリリース

2007年3月29日

Mobile IPv6を用いたIPv6移動通信サービスの実験運用開始

WIDEプロジェクト 代表 村井純

WIDEプロジェクト(代表 学校法人慶應義塾常任理事 兼 慶應義塾大学環境情報学部教授村井純)とルイ・パスツール大学(フランス)は、Nautilus6プロジェクトの活動の一環として、次世代のIPv6移動通信技術の基礎となるMobile IPv6の普及を図るとともに、その運用技術を蓄積するため、ホームエージェントサービスの実験を4月1日より開始いたします。

Mobile IPv6は、IPv6端末に移動通信機能を追加する拡張仕様です。Mobile IPv6を用いると、各IPv6端末は接続するネットワークに関わらず、常に同一のIPv6アドレスを利用して通信できます。この技術は、複数の無線ネットワークを切り替えながら移動する場合や、無線ネットワークと有線ネットワークの間をシームレスに切り替えながら利用する場合に有効で、次世代の携帯電話などの移動端末への応用が期待されています。

Mobile IPv6を利用するためには、移動端末を補助するホームエージェントをインターネット上に設置運用する必要があるため、これまで簡単には利用できない状況が続いていました。本実験サービスは、この障壁を取り除くために、誰もが気軽に利用できるホームエージェントサービスを提供します。  本実験サービスの利用は、IPv6ネットワーク環境において、Mobile IPv6仕様に準拠した端末を接続することで可能です。Mobile IPv6の移動ノードソフトウェアは、SHISA ProjectやGO-CORE/USAGI Projectが公開しています。これらのソフトウェアと本ホームエージェントサービスを利用することにより、ノードの接続ネットワークに依存せず、同じIPv6アドレスでノードにアクセスすることが可能になります。

WIDEプロジェクトとルイ・パスツール大学は、本実験サービスを実施するに当たってホームエージェントの機能を簡便に操作するためのウェブユーザーインターフェースであるソフトウェア「HAiku(ハイク)」を共同開発し、オープンソースソフトウェアとして公開しています。また、ホームエージェントの設置は、WIDEプロジェクトに加えて、ルイ・パスツール大学においても設置が進められており、フランスの学生と研究者およびWIDEプロジェクトメンバを対象とした運用が開始される予定となっています。さらに、Nautilus6プロジェクトの一員であるENST Bretagneも、本ソフトウェアを用いて、同様のサービスを学生および研究者に提供中です。

WIDEプロジェクトは、IPv6移動通信技術の研究と開発に積極的に取り組んできました。本実験サービスに向けてWIDEプロジェクトとルイ・パスツール大学が共同研究の成果として開発したソフトウェア「HAiku」をオープンソースソフトウェアとして公開することで、他のコミュニティからの利用による、同様のサービスの普及も期待しています。また、本実験サービスは、来年2008年3月まで実施する予定であり、安定した運用サービスを継続して提供することで、実運用環境におけるIPv6移動通信技術の技術向上と普及促進を推進してまいります。

[実験サイト]
https://op-ha.nautilus6.org/
http://op-ha.nautilus6.org/documentation/

[BSD/Linux用Mobile IPv6ソフトウェア]
SHISA: http://www.mobileip.jp/
MIPL: http://www.mobile-ipv6.org/


[用語解説]
- WIDEプロジェクト
WIDE(Widely Integrated Distributed Environment) プロジェクトは、大学や企業など100を超える団体が協力して、オペレーティングシステム技術と通信技術を基盤とした新しいコンピュータ環境の確立を目的として活動している研究プロジェクトです。WIDEプロジェクトの基本理念は「地球上のすべてのコンピュータに接続し、人や社会の役に立つ分散システムを構築する。そのために必要な課題と問題点を追求する」こと。この理念に基づいて、常に近い将来を見据えた次世代技術の研究を行っている。
http://www.wide.ad.jp/index-j.html

- ルイ・パスツール大学 (University Louis Pasteur、フランス)
ルイ・パスツール大学は科学的、文化的、専門的な公立大学であり、教育、 研究、運営、財政面において独立した地位を保持している。ヨーロッパにおける科学、工学、医学大学として、ルイ・パスツール大学は、その高品質かつ多様な教育課程、高水準な研究成果、および柔軟かつ開放的な運営で広く知られている。 ストラスブールに4つのキャンパスを持ち、18,000名を超える学生、1,400名を超える教育関係者、1,700名を超える技術者および運営スタッフが、18組織 (研究、教育部門、大学、工科大学および専門学校)、74の研究所(内、CNRS関係部門として44、INSERM関係部門として10、INRA関係部門1)からなる14の研究機関、30の一般部門で研究活動、大学運営を行っている。
http://www-ulp.u-strasbg.fr/en/bienvenue/

- Nautilus6(ノーチラス・シックス)プロジェクト
IPv6における移動通信技術の研究、開発および普及促進を目標に2003年に設立。WIDEプロジェクト、ルイ・パスツール大学(フランス)、ENST Bretagne(フランス: ブルターニュ電気通信国立大学)、INT(フランス:Institut National des Télécommunications)、INRIA(フランス国立情報学自動制御研究所)、France Telecom R&D(フランス)により構成されるコンソーシアム。
http://www.nautilus6.org/

- SHISA Project
IPv6移動通信機能の研究開発を推進。BSDオペレーティングシステムを対象として実際にプロトコルスタックを実装することで仕様の妥当性の検討、実証を行う。開発の成果はオープンソースソフトウェアとして公開。
http://www.mobileip.jp/

- GO-CORE Project
IPv6ネットワーク環境における移動通信管理機構の研究を推進。USAGI Projectと共同でLinux用Mobile IPv6スタックを開発、公開。
http://www.tcs.hut.fi/Research/Mobility/go-core.shtml

- USAGI Project
IPv6プロトコルの研究開発を推進。Linux上でプロトコルを実装することで、仕様の妥当性や実証を行う。研究成果は順次Linux本家に還元されている。
http://www.linux-ipv6.org/

- Mobile IPv6
IPv6に移動通信機能を追加する拡張仕様。Mobile IPv6を利用することで、IPv6端末は固定のIPv6アドレスを維持したまま、ネットワーク上を自由に移動できるようになる。

-ホームエージェント
移動端末のホームネットワークに設置されたサーバー。移動端末とホームエージェントの間にはトンネル接続が構成され、移動端末から送信されるパケットは、 一旦トンネルを用いてホームエージェントに送られた後、ホームネットワークから発信される。逆に、移動端末宛のパケットはホームネットワークでホームエー ジェントによって代理受信され、トンネルを用いて移動端末に配送される。この仕組みを使うことで既存のIPv6端末は、移動端末の実際の位置に関わらず通信できる。

■本件問い合わせ先:
WIDEプロジェクト 広報担当
Tel: 0466-49-3618 
E-Mail:press@wide.ad.jp

以上。

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