japaneseenglish

about wide

Founder挨拶

WIDE プロジェクト ファウンダー
村井 純
 
WIDEプロジェクト代表 村井 純
 

WIDEプロジェクト 2015

WIDEプロジェクトは1984年に開始したJUNETのコミュニティを中心に次の自律分散オペレーティングシステムやネットワークに関する議論から生まれた。JUNETの開始は記録上は1984年となっている。これはその接続の記録や経緯から誤りはないと思われる。モデムによるデジタルデータの転送を電話回線上で行うことで開始したJUNETを情報処理学会で東京大学の和田英一先生(当時)にお話した時に「とても大事なことで支持するが、いろいろ難しいので目立たないように頑張れ」と励ましていただいたことを覚えている。「いろいろ難しい」ということには、そもそも電話回線の利用を規制する電気通信事業法が施工されたのが翌年1985年だったわけで、合法性すらはっきりしていない状態だったことも背景にはあった。あれから30年、2015年は法の施行30周年ということで全国でさまざまな記念事業が開催された年だった。つまり我が国のデジタルネットワーク30歳の年だったことになる。

それもあってか、2015年のデジタルテクノロジーの環境には落ち着きから生まれる新しい波が動き出した印象がある。インターネットが行き渡り、スマートフォンの個別技術も物珍しさがなくなった。一方でTVや空調をはじめとする家電製品が家庭のWi-Fiを前提にして個別のサービスのためにインターネットに繋がるのが当たり前になってきた。個別の機能を果たすために収集される機器から生まれる各種のデータは、インターネットを前提とすれば無限の価値を生み出すことができる。この研究開発はWIDEプロジェクトでは1990年半ばからインターネットカープロジェクトとして行っていたことである。当時は位置情報を測定するGPS機器が何十万円もして、実験のパケット代金は青天井で千台以上の自動車で実験をしたWIDEプロジェクト自体がパケ死状態だった。

2015年にはGPSはスマートフォンに組み込まれ、無線上のインターネットですら定額となり、家電に組み込まれるセンサーは新しい物が組み込まれ、あふれるデータを用いた知恵比べのような状況が始まってきた。IoTと呼ばれるこの動きはデータの活用だけでなく、ドローンやロボットなどの新しい機器と連携し、かなり景色の違う社会をイメージできるようになった。中国におけるドローンだらけの農業の様子は子供の頃から夢見ていた空飛ぶ自動車だらけの景色を彷彿とさせる。

WIDEの領域としても多くの課題をつきつけられている。ドローンや自動車を含む分散処理環境を大規模に広域に設計していくためには、新しい無線技術や自律分散協調システムへの要求を踏まえたデータ通信とデータ処理のアーキテクチャを設計し、展開する必要がある。

インターネットやIoTの社会基盤の急激な発展に伴って、安心と安全への対応も従来のネットワークセキュリティとは異なる、新しい基準で評価されるようになった。サイバーセキュリティの領域でのテクノロジーから政策へのアクションは、技術環境の構築との表裏一体の作業として私達が自ら進める必要がある。

2016年からのWIDEプロジェクト関連領域は、冒頭に述べた30年前の新世界の開拓と同じような状況であると考えることもできるが、この分野の社会基盤性を前提とすると、当時を遥かに超えた更に広大な課題に挑戦することになる。2015年度の参加者への感謝をするとともに、これからのWIDEプロジェクトへの積極的な参加をお願いしたい。

2016年3月
村井 純

  • NSPIXPリンク
  • SOIリンク
  • AIIIリンク
WIDE賞