Title: Medicri WGの2014年度活動概要 Author(s): 奥村 貴史 (taka@wide.ad.jp), 中河 清博 (gacha@wide.ad.jp), 前田 貴匡 (wilodp32@gmail.com) Date: 2014-12-15 * はじめに Medicri (Medical Crisis) WGは、2010年4月より活動している、医療崩壊問 題や災害医療に対する情報技術の寄与について検討するワーキンググループ である。設立以降、医療の情報化を担う人材育成、WIDEプロジェクトにおけ る医療系問題の啓発活動、健康危機管理における情報技術の観点からの支援 等を行って来た。今年度は、昨年までの活動を継続すると共に、活動予算の 獲得に向けた検討を行った。 * 人材育成 医療崩壊の背景にある医療従事者の労働環境を改善していく上では、医療用 情報システムの品質向上が求められる。そのためには、医療と情報の双方に 通じた人材の育成が欠かせないが、わが国には、「医療情報技師」という実 務者の養成制度はあるものの、医療の情報化における研究開発を担う人材育 成のための枠組みがほとんどない。そこで、WG開始時より継続して行ってい る情報系人材に対する医学教育、「情報系学生のための医学概論」を、合宿 の機会を活用して実施した。 * 災害医療への対応 災害医療への貢献としては、保健医療行政における危機管理用情報システム に対する技術支援を継続して行った。とりわけ、今年は、夏場における首都 圏でのデング熱発生に加えて、世界的なエボラ出欠熱問題が生じた。そこで、 感染症パンデミックへの対応について議論を行ったうえ、厚生労働省医政局 結核感染症課と進めている新型インフルエンザパンデミックへの対応を合わ せて、準備を進めた。 * 活動予算の確保について 昨年度の報告において、研究教育活動を拡大に向けてより大きな研究予算の 獲得を目指す方針を記した。そこで、WGにおいて検討を行っていた医療系情 報研究コンソーシアム育成事業(通称:未踏 Med)について、内閣府により 募集されていた挑戦的な研究開発の支援を目的とする「革新的研究開発推進 プログラム」(ImPACT)への応募を行った。提案の採択には至らなかったが、 今後の活動の拡大に向けて、予算獲得の試みは継続したい。 * おわりに 今年度はWG設立から5年目となる。医療崩壊問題への対応や災害医療への支援 は、行政内に様々なニーズがあるにも関わらず、人員不足により適切な対応 が行えないことが頻発している。今年度は、WIDEの内外より支援を頂くこと が出来るよう、WGの広報サイトの構築等、広報の改善も図った。今後、人材 育成と予算獲得の努力を続け、支援能力の拡大を図りたい。